ぎゅうぎゅう焼きで有名(我が家的に)な翻訳家の村井理子さんのこのエッセイが何度読んでも泣ける。
一番響くのはここ。
頭が真っ白だった。私は今まで何をやっていたのだろう。目の前にいる息子の何を見てきたのだろう。焦った私は、まったく最低なことに、次男に対してこう口にしたのだ。
「言ってくれればよかったのに」
すると、次男はまっすぐ私を見返し、「何度か言ったはずや」と、冷静に答えた。
ただでさえバタバタな毎日だ。
育児に専念もできず、気持ちがあっちこっちに向いてじっとしていられない迂闊な私と、人はいいがのんびり屋な夫のことだ。いつか子どもたちが出しているシグナルに気付かず、見過ごし、ひどく傷つけてしまうことがあるかもしれない。ましてやそれが彼らにとって致命傷になることがないとは言い切れない。
すごく、恐い。
恐いけれど、育児からは逃げられない。私と夫が彼らのお母さん・お父さんであることはやめられないのだ。
いつか来るかもしれないそんな日も、なんとかうまく乗り越えられるように今は祈るしかない。